君の心に触れる時


その時、病室のドアが開き、智己が入ってきた。
春香の容体を確認すると、彼は一瞬の安堵を見せたが、次の瞬間には厳しい表情に変わった。

「蓮、お前、なんでこんなことになったか本当にわかってるのか?」

智己の突然の言葉に、蓮は驚いて振り向いた。

「何を言ってるんだ。俺は春香を助けるために…」

「助けるだけじゃダメなんだよ!」

智己は鋭い声で遮る。

「お前は医者としての責任を果たしてる。それは立派だ。でも、恋人としての責任はどうだ?春香が追い詰められるまで気づかなかったのは誰だ?」

その言葉に、蓮は一瞬言葉を失った。
春香が目を逸らそうとするのを見て、蓮はようやく気づく。

「俺が…もっとお前の気持ちに気づいていれば…」

蓮は声を落とし、春香の手を握り直した。

「ごめんな、春香。本当にごめん。俺はお前を守るって言いながら、全然守れてなかった。」
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