君の心に触れる時
「蓮、下がれ！」


そこに智己が駆け込んできた。彼はすぐに状況を把握し、冷静な指示を出す。

「1mgアドレナリン投与、除細動を準備！リズム確認後に充電！」

「智己…俺がやる！」

蓮が叫ぶが、智己は彼の肩を強く掴み、低い声で言った。

「蓮、お前の手が震えてるのが分かるか？お前の気持ちは分かるが、今はお前じゃない。」

蓮はその言葉にハッとし、拳を握りしめた。
彼は後退し、智己が蘇生措置を施す姿を見つめるしかなかった。

「ショック、いくぞ！」

智己の声と共に、春香の身体が一瞬跳ね上がる。
しかし、モニターはまだフラットラインのままだ。

「もう一度だ。充電！」

智己が再び指示を飛ばす。2度目のショックの後、モニターに微かな波形が現れた。

「心拍、復帰しました！」

看護師が声を上げたが、全員の表情はまだ緊張を解けていなかった。
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