君の心に触れる時
蓮は再び春香の顔を覗き込み、彼女の手を握りしめた。
意識は戻らないものの、春香の微かな息遣いが聞こえる。
「…俺がもっとしっかりしていれば…」
蓮の声が震える。
智己は息を吐きながら、冷静に言った。
「蓮、後悔している暇はない。今すべきことは何だ?」
蓮はその言葉にハッとし、拳を強く握りしめた。
「…俺が春香を絶対に助ける。何があっても。」
「なら立て。お前の手で彼女を救うんだ。」
春香は一命を取り留めたものの、身体は限界に近づいていた。
蓮と智己、そして医療チーム全員が急いで手術準備を整え、手術室に運び込んだ。
「春香、聞こえてるか?俺が絶対に助ける。」
蓮は彼女の耳元で囁き、祈るように彼女の手を握った。
その瞬間、春香の目から一筋の涙が流れた。
それは彼女がまだ生きる意思を持っている証だった。蓮はその涙を見て、さらに強い決意を胸に刻んだ。