君の心に触れる時
翌朝、智己が病室を訪れると、春香が目覚めていることに驚いた。
「おお、生き返ったな。」
智己は冗談めかした口調で言いながらも、どこか嬉しそうな表情を浮かべている。
「智己先生…ありがとうございます。」
春香が弱々しく頭を下げると、智己は手を振って言った。
「礼なら蓮に言えよ。俺はただの助っ人だ。」
「智己先生がいなかったら、私…」
「大丈夫、分かってる。」
智己は優しく微笑んだ。
「でも、これからが本番だぞ。手術は成功したけど、完全に元通りになるにはまだ時間がかかる。」
春香は小さく頷いた。
「分かってます。これからはちゃんと治療を受けます。」
蓮はその言葉に安堵し、そっと彼女の手を握った。
「一緒に頑張ろう、春香。」
智己が病室を後にし、春香が再び眠りについた後、蓮は彼女の顔を見つめながら自分の心に誓った。
「俺がついている限り、もう二度とお前を一人にしない。」
彼の胸には、医師として、そして春香を愛する人間としての強い決意が宿っていた。