君の心に触れる時
新しいスタート
春香は退院後、リハビリをしながら、少しずつ自分を取り戻していった。
しかし、体力が回復してきた一方で、心の中にはまだ不安が残っていた。
未来のことを考えると、恐怖や疑問が湧いてきて、どんなに蓮がそばにいてくれても心の奥底に何かが引っかかる。
「本当に、私なんかがあなたを支えられるのかな?」
蓮は春香の不安を感じ取るように、いつもより少しだけ優しく接していた。だが、春香自身がその気持ちをどう伝えればいいのか分からず、つい自分を閉じ込めてしまうことがあった。
そんなある日、蓮は自分の気持ちを確かめるために、春香に向き合った。
リハビリの合間に、春香がひとりで公園を散歩しているのを見かけた蓮は、そっと彼女に声をかけた。
「春香、今日は少しだけ話がしたい。」
春香は驚き、蓮を見上げる。
「どうしたの?」
蓮は一瞬、言葉を選ぶように黙った後、静かに言った。
「春香、俺はお前がどんな状況でも、一緒にいるって決めた。お前が今どんなに不安でも、俺はお前を守り抜く。だから、俺にお前の未来を預けてほしい。」
その言葉に、春香は深い胸の奥で何かが弾けるのを感じた。彼の気持ちは本物だ。
春香は、これまで抱えていた不安が少しずつ消えていくのを感じた。しかし、春香の中で決断を下すにはまだ時間が必要だった。
「でも…私はあなたに、どれだけ迷惑をかけてきたか分からないよ。これからだって、また何かあるかもしれない。」
蓮は少しだけ肩をすくめ、微笑んだ。
「それでもいい。お前と一緒にいれば、何があっても乗り越えられる気がする。」
その言葉に、春香は心から安心感を覚え、蓮に向かってしっかりと頷いた。
「ありがとう、蓮。」