君の心に触れる時
最期のとき
数日後、、
春香が突然、苦しみだしたのは、ほんの一瞬の出来事だった。蓮が病室に入った時、いつものように横たわる春香の顔色が明らかにおかしかった。
「春香…?」
蓮は声をかけながら、春香の手を握る。
その手が異常に冷たく、春香の目が開かないまま微かに震えていた。
「春香…何かおかしいぞ。」
蓮はすぐに呼吸を確認し、そして顔色の悪さに胸が締めつけられる。春香は少しずつ呼吸が荒くなり、口元に青白い色が広がっていった。
「春香!しっかりして!」
蓮は急いで看護師を呼ぶが、その間にも春香の容態は急激に悪化する。
心拍数が急に不安定になり、モニターの音が次第に高い警告音を鳴らし始めた。
看護師が駆け込んできた瞬間、春香は突然、大きく喘ぎながら体を震わせ、喉から苦しげな音を漏らす。
顔が蒼白になり、目の前がぼやけていくような感覚が蓮を襲う。
「春香…!しっかりしろ!」
蓮は春香の体を抱きしめながら、必死に呼びかけた。しかし、その手が冷たく、動かなくなってきた。
「息が…できないのか?」
蓮の手が春香の胸を押さえる。心臓がどうにかなっているような感覚が蓮を苛立たせ、焦らせる。
「何が起きてるんだ…?」
看護師の一人が急いで機械をセットし始め、もう一人が注射を用意する。蓮の目には、春香がもう息をしていないように見え、心臓が凍りつく。
「春香…!」
蓮の声はひび割れて、手が震えていた。
「しっかりしてくれ、お願いだ…」
看護師が集中治療を始め、心臓マッサージを始めるが、その中で蓮はただ立ち尽くしていることしかできなかった。心臓がその場で破裂したように痛み、蓮はその場から動けなくなった。
「心臓が…今、もう限界だ。救急チームに連絡を!」
春香の心臓が動かなくなり、命の灯火がゆっくりと消えていく感覚。
蓮はその場で動けないままで、ただ春香の顔を見つめることしかできなかった。