鉄仮面の自衛官ドクターは男嫌いの契約妻にだけ激甘になる【自衛官シリーズ】
 誰もいない静かな境内で、悠生さんの声は穏やかに響いた。

「彼の話は、俺に命を預かる仕事の重さを教えてくれた。病院では患者が自分から助けを求めてやってくる。だが、災害派遣では違う。こちらから助けに行くんだ。ひとりでも多くの命を救うために。……衝撃的だった」

 医師の家に生まれた悠生さんは病院での医者のあり方や、現場の動きについては詳しかったのだろう。

 彼の両親なら聞かれれば話したはずだ。医者一族の後継者として完璧な息子に育てるために。

 だけどだからこそ、悠生さんにとって自衛隊医官の話が響いたに違いない。

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