鉄仮面の自衛官ドクターは男嫌いの契約妻にだけ激甘になる【自衛官シリーズ】
 不安そうな顔をしているように見えて言うが、律は手を引っ込めようとした。

「遠慮しなくていい。くすぐったかっただけだ」

「だったらなおさら、触らないほうがいいんじゃ……?」

「別に嫌なわけじゃない。だめだったらだめだと言うから、好きなように触ってくれ」

 ただし、あんまり俺に細い指や小さな手のぬくもりを意識させないように――。

 続けようとした言葉は呑み込んで、大丈夫だと示すように律に向かってうなずく。

 しばらく自分の手と俺を見比べていた律だったが、「男の身体に触っても平気らしい」という喜びをもう少し味わいたかったようだ。再びおそるおそる俺の身体に手を伸ばしてきた。

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