鉄仮面の自衛官ドクターは男嫌いの契約妻にだけ激甘になる【自衛官シリーズ】
 俺も彼女に触れてみたいと無意識に思ってしまい、自分自身に動揺する。

 今日、何度か彼女に触れたいと思った瞬間があった。手を握ってみたい、抱きしめてみたいと思った欲求がじわりと湧き上がってくる。

「俺から触れてみてもいいか?」

 これは下心からくる提案ではないと心の中で言い聞かせ、慎重に尋ねる。

 律は少し悩んだ様子を見せてからうなずき、俺の前に自分の手を差し出してきた。

「ちょっと緊張しますね。もしかして、さっきまで同じように緊張していましたか?」

「そうだな。どんな顔をすればいいかわからなかった。気持ちを理解してもらえたらしくてうれしいよ」

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