鉄仮面の自衛官ドクターは男嫌いの契約妻にだけ激甘になる【自衛官シリーズ】
 冗談めかして言うと、律の肩から少し力が抜けたのがわかった。

 これなら大丈夫だろうかと、差し出された手をそっと握る。

 小さな手だ。指が細くて美しい。手首には俺がプレゼントしたブレスレットがついたままで、彼女が動くたびにチェーンがこすれて音を立てた。

 無防備にさらけ出された手を見て、彼女がこんなふうに許すのは俺だけなのだと理解してしまった。言葉にできない感情が込み上げるが、それを抑え込んで指先で律の手のひらに触れる。

「あっ」

 律が小さく声をあげて手を引っ込めた。

 そして困惑した表情で自分の手と俺を交互に見る。

「触られるのはだめだったか」

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