鉄仮面の自衛官ドクターは男嫌いの契約妻にだけ激甘になる【自衛官シリーズ】
「そうなのかもしれません……。私から触るのは大丈夫みたいなんですが……」

 差し出された手を握った時は平気だったように見えたから、触り方の問題もあるのかもしれない。ただ、どれがよくてどれがだめなのか判断はつかない。

「だったら、もっと君が慣れるまでおとなしくすることにしよう」

 こちらからなにもできないというのは実にもどかしいが、彼女にとってそれが最善なら付き合うまでだ。

「ありがとうございます」

 ほっとしたように言うと、律は身体ごとこちらに近づいてきた。隣に座り、肩を触れさせるほどの距離まで詰めてから小さく息を吐く。

「隣に座るのも大丈夫そうです」

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