鉄仮面の自衛官ドクターは男嫌いの契約妻にだけ激甘になる【自衛官シリーズ】
 たしかにこれ以上彼を好きになってはいけないと努めてはいたが、露骨に避けたり、この関係を早くやめようと言ったり、わかりやすい行動は取っていない。むしろなにもしていないと言っていい。ただ心の中で気をつけようと考えていただけなのだから。

 強いて言うなら、それほど積極的にトラウマ克服の訓練をお願いしなくなったくらいか。でもそれだって、ときどき付き合ってもらってはいる。

「勘違いだと思います。特に心当たりがないので……」

「……そうか」

「どうしてそう思ったんですか?」

「わからない」

 彼が言った言葉を声には出さずつぶやく。

「ただ、以前とはなにか違う気がした。ここ最近の話だ」

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