鉄仮面の自衛官ドクターは男嫌いの契約妻にだけ激甘になる【自衛官シリーズ】
 一瞬、自分がなにを言われたのか理解できなかった。

 言葉の意味を呑み込む前にうなずくと、軽く腕を引っ張られる。一拍の後、私は悠生さんの腕の中にすっぽり収まっていた。

「嫌だったら――」

「嫌じゃないです……」

 こんなやり取りをもう何度も繰り返した気がした。

 どの瞬間も私は彼を嫌だと思えなかった。今も、やっと彼のぬくもりに包んでもらえて涙が止まらない。

 悠生さんが好きだ。

 彼にしかこの距離を許したくない。ほかの誰にも触れられなくなっていいから、彼にだけは触れてほしい。

「……律」

 耳もとで悠生さんの声が聞こえ、身体の力が抜ける。

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