鉄仮面の自衛官ドクターは男嫌いの契約妻にだけ激甘になる【自衛官シリーズ】
 悠生さんの腕に包まれている感覚は夢のようだった。時間も時間なだけに、本当に夢を見ているんじゃないかと錯覚する。

「悠生さん……?」

 なぜ彼がこんな真似をしてきたかわからず名前を呼ぶ。

 唇からこぼれ出た声は戸惑いに揺れていた。

「……安心するな」

 耳の縁を悠生さんの吐息がくすぐる。ぴくんと身体が反応し、一気に鼓動が速くなった。

 硬直する私にはかまわず、悠生さんは私の首筋に顔を埋めてゆっくり深呼吸をする。

「いい香りだ」

 安堵の声が肌を撫でていった。

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