鉄仮面の自衛官ドクターは男嫌いの契約妻にだけ激甘になる【自衛官シリーズ】
 動揺を消しきれないまま手を伸ばし、律のやわらかな髪を撫でる。

 微かに鼻腔をくすぐるバーベナの香りは、今や俺にとって花の匂いではなく律の匂いだった。

 きっと今、彼女と一緒に見たバーベナの花壇の前に行ったら、律のことを思い出して落ち着かない気持ちになるだろう。

 仕事をしている時以外、常に律のことを考えている気がする。だからきっとここ最近の忙しい日々を大変だと思いながらも、ありがたく思っていたのだろう。

 視線を下に向け、律の寝顔を覗き込む。

 悩みが解決した様子はないが、折り合いをつけたのか肩の力を抜いて過ごすようにはなったと思っている。

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