鉄仮面の自衛官ドクターは男嫌いの契約妻にだけ激甘になる【自衛官シリーズ】
 眠そうな律を前に焦りを押し殺し、今の状況を誤魔化すべく少し身を引いた。

 その間彼女は不思議そうに俺を見ている。心の中を見透かすような眼差しを受け止めきれず、目を逸らした。

「おはよ、ございます」

 ふあ、とあくびを噛み殺しながら言った律が顔を寄せてきた。

 ぎょっとしたのも束の間、胸に顔を押しつけられる。

「あったかい……」

 次いで、小さな寝息が聞こえた。どうやらまた眠ったらしい。

 寝ぼけてくれていてよかったが、よかったと思った時点で自分がよからぬことをしたのだと突きつけられた気がして気まずくなる。

 今、俺は律にキスをしようとした……と思う。

< 222 / 337 >

この作品をシェア

pagetop