鉄仮面の自衛官ドクターは男嫌いの契約妻にだけ激甘になる【自衛官シリーズ】
 無心で患者の包帯を外し、傷の具合を確認してから消毒を施す。苦悶の声はもう鼓膜にこびりつくくらい聞いた。痛みを堪えて歯を食いしばる顔だって、今まで何回見ただろう。

 早くこの苦しみから解放して、また彼らが笑って過ごせるようにしたい。そう思うのに、減るどころか増えるばかりの患者の数に焦りが募る。

 きれいな包帯を巻きながらふと、律の顔が頭をよぎった。

 今後について話をしたかったのに、できないままここへ来た。彼女はどんな気持ちで俺を見送ったのだろう。意図したわけではなかったが、中途半端に不安を煽った形となって申し訳なく思う。

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