鉄仮面の自衛官ドクターは男嫌いの契約妻にだけ激甘になる【自衛官シリーズ】
 ましてやあの環境で贅沢などできるはずもなく、ひと月ぶりにゆっくりとお風呂に浸からせてもらった。

 ひと息ついてから、お世辞にもきれいとは言い難い身体を抱きしめられ、キスまでされたと気づいて恥ずかしくなる。

 さっぱりした後は着替えをし、お気に入りのヘアオイルを使って髪を乾かしてからリビングに向かった。

 待っていた悠生さんが私の手を引いてソファに座らせてくれる。

 こんな短い距離でもエスコートしてくれるなんて、とおかしくなった。

「やっと帰ってきたって感じがします」

 悠生さんの隣に収まって言うと、長い指が私の顔の横にかかった髪に絡んだ。

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