鉄仮面の自衛官ドクターは男嫌いの契約妻にだけ激甘になる【自衛官シリーズ】
 息をひそめてその顔を見つめ、軽く頬にキスをしてみた。

 昨夜、私たちは言葉を忘れて気持ちを通じ合わせた。

『そんなかわいい声で俺を呼ばないでくれ。優しくしたいのに』

『……好き、は? もっと聞きたい』

『ここも、ここも。……俺にしか触れさせるなよ』

 悠生さんの甘い声が脳裏によみがえって、頬に熱が集まる。

 何度も愛を囁かれ、抱きしめられて肌を重ねたあの瞬間、自分は今まで生きてきて本当の喜びを知らなかったんじゃないかと錯覚するほどの多幸感に包まれた。

 愛おしさが止まらなかったのは彼も同じだったようで、経験のない私を労わりながらもじっくりと甘やかしてくれた。

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