きみの本気は分かりづらい
「…」




『………ゆうにい……』




『昔』のように
口にしてしまいそうになるのを

ぐっと、堪えて

静かにその場を後にする



逃げるように、足早に廊下を歩く



………ままならない



自分で、ゆう兄に
他の人と過ごす時間を勧めておいて

いざ、そうされると
それを目の当たりにすると

言い様のない不安と恐怖に襲われる



私といるより
他の人といる方が楽しいんじゃないかとか


もっと
ゆう兄にお似合いの人がいるんじゃないかとか


このまま
ゆう兄は私から離れていくんじゃないかとか


その方が
ゆう兄は幸せなんじゃないかとか




……自分で、自分がめんどくさいと思う


どうして、複雑に考えちゃうんだろう…


素直に
ゆう兄が好きだって、一緒にいたいって
それだけでいいのに

ゆう兄だって、そう言ってくれてるのに



なんで、こんなに


ひとりで疑って、怖がって


不安になってるんだろう
< 54 / 165 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop