憧れの上司は実は猫かぶり!?~ウブな部下は俺様御曹司に溺愛される~
それ以上私に反論させず、課長は有無を言わさずクレンジングシートで私がしたメイクを落としていった。
こうなったらもう従うしかないし、それに宇佐神課長のメイクの腕も気になる。
なのでおとなしくした。

――その後。

「えーっ!
全然違う!」

「だろ?」

メイクが終わり、鏡で確認する私に課長が勝ち誇ったように笑う。
ポイントメイクの色味はほぼ同じだが、肌が二、三歳若返った感じがする。
それに私がやるとただ地味だった化粧が、そういうのを狙ったお洒落なメイクになっている。
宇佐神課長のしてくれたメイクをきっちり基礎からやって建てた高級ホテルに例えるなら、私のメイクはよくて掘っ立て小屋だった。
これでは完敗だ。

「毎日のメイクは時間かけられないから仕方ないけど、休みの日、とくに街に出るときくらいは七星を綺麗にしたい」

軽く私の顎に添えた手を持ち上げ、彼が視線をあわせさせる。
眼鏡の向こうから彼は、うっとりとした目で私を見ていた。
その目と視線があい、ゆっくりと熱が下から顔へと上がってくる。

「えっ、あっ、えと。
……ありがとう、ございます」

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