憧れの上司は実は猫かぶり!?~ウブな部下は俺様御曹司に溺愛される~
そのせいで俯いて口をぱくぱくとさせ、小さく呟くようにお礼を言うだけに終わった。

兄との待ち合わせ場所には宇佐神課長の車で行った。

『帰りに買い出しに行きたい』

……の、らしい。
まあね、平日は仕事があって終わるの遅い日も多いし、とくに今週は警察署にもちょくちょく呼び出されたし。
食材を買い足したい気持ちはわかる。
私はといえば毎日、課長のお宅でごはんを食べていたのでほとんど食材が減っていないが。
ええ、小腹が空いたときのお菓子すら減っていないんですよ!
だって、夕食後も誰かさんがなかなか部屋に帰してくれないから、帰ったときにはもう歯磨きして寝るしかなくなっているのだ。

「はぁっ」

「そんなにお兄さんに会うのが嫌か?」

流れていく窓の外を見ながら私が憂鬱そうなため息をつき、くつくつとおかしそうに喉を鳴らして宇佐神課長が笑う。

「兄に会うのは嫌じゃないですが……」

私たちは仲良し兄妹なので兄に会うのは別に問題ではない。
普段ならたまに買い物に付き合ってもらったりして、兄妹デートすらするくらいだ。
しかし今日は。

真っ直ぐに前を見て運転している課長の顔をちらりと見る。
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