憧れの上司は実は猫かぶり!?~ウブな部下は俺様御曹司に溺愛される~
「そんときはまた、兄ちゃんに相談しろ。
今度は警察に突き出してやる」

重々しく兄が頷く。
それが酷く頼もしかった。

憂鬱な気分を振り払って兄のマンションで一晩を過ごし、翌日は新居へと向かう。
引っ越し業者も予定どおり到着し、荷物を運び込んでもらった。

「ゴミ、これで終わりか?」

「うん、そー」

まとめたゴミを持ち、兄が立ち上がる。

「じゃー、兄ちゃんはこれ出して帰るわ」

「駐車場まで送る。
コンビニで晩ごはん、調達したいし」

「そうか」

兄と連れだって部屋を出る。

「今度のマンションは前よりセキュリティがしっかりしてるから、安心だな」

「そうだね」

エレベーターの中、兄が視線を向けた先には監視カメラがついている。
オートロックの集中玄関でそこにも監視カメラがついているとなれば、安心感が違った。
さらに駅からも近く、徒歩圏内に交番もある。
セキュリティがよくなった分、当然家賃もそれなりに上がったが……安心を買ったと諦めよう。

「昨日と今日と、ほんとありがとね」

「いいって。
可愛い妹のためだろ」

子供の頃のようにガシガシと乱暴に兄が頭を撫でてくる。
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