憧れの上司は実は猫かぶり!?~ウブな部下は俺様御曹司に溺愛される~
頬を上気させ、潤んだ目でお願いされ、理性が崩壊しそうになった。
幼児退行して甘えたくなっているのも、こんなに可愛く見えるのも熱のせいだとわかっている。
けれどこんな可愛いお願いをされたら、押し倒したくなるってもんだ。
しかし、相手は病人。
なけなしの理性でどうにか押し留まる。

「……ダメ?」

しかしダメ押しで、うるうると泣きそうな目で見られてみろ。
もー、なんでもお願い聞いちゃう体勢になってしまう。

「……いい」

眼鏡を外して置き、ベッドに入って七星を抱きしめてやる。

「これでいいか」

「うん」

満足げに頷き、彼女は俺の胸に額をつけた。
すぐに今度は気持ちよさそうな寝息が聞こえてくる。

「寝た、か?」

そっと触った額は、会社を出たときよりも熱が下がっているように感じた。
起こさないようにそっと、抱きしめ直す。
もう何度かこうやって眠ったが、七星を抱きしめているといつも幸せな気持ちになる。
可愛い可愛い、俺の七星。
起きたら元気になっているといいな。
熱のときのお願いは破壊力抜群なので、勘弁してもらいたいが。
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