憧れの上司は実は猫かぶり!?~ウブな部下は俺様御曹司に溺愛される~
そのタイミングで下りのエレベーターが到着し、ドアが開く。

「では、失礼いたします」

「気をつけてお帰りください」

ドアが閉まり、COCOKAさんたちが見えなくなるまで、どうにか笑顔を保つ。

「なあ」

完全に彼女たちの姿が見えなくなった瞬間、龍志が口を開いた。

「なんか怒ってる?」

並んだままふたりとも前を見たままなので、彼がどんな顔をしてこんなことを尋ねてくるのかわからない。

「別に怒ってないですよ」

言いながらすとんと納得した。
あきらかに好意を向けられている相手に龍志がにこやかに対応しているのが嫌だった。
あんなの、勘違いされても仕方ない。

「営業スマイルだろ」

「わかってますよ」

わかっているけれど、腹が立つ。
腹が立つけれど、なんで腹が立つのかわからない。

「これで機嫌直せ」

まさかキスとかしてくるんだろうかと警戒した。
それで私の機嫌が直ると思われているのも腹が立つ。
けれど彼はポケットをごそごそとあさり、私の手を取ってシロクマの小さなぬいぐるみをのせてきた。
いつぞや夜遅くまで残業していたとき、忘れたから取りに戻ってきたと言っていたヤツだ。

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