憧れの上司は実は猫かぶり!?~ウブな部下は俺様御曹司に溺愛される~
龍志もちょっと困っているので、こうやって居留守を使ったりする。

「モテる男はつらいですね」

私としてはただ事実を告げただけのつもりだった。
けれど。

「七星はそれで、嫌になったりしないのか?」

一歩、私に距離を詰めてきた彼が、ぐいっと私を見下ろす。
レンズの向こうの瞳はかなりご不満なように私には見えた。

「えっと……。
別に」

両手でそれを押さえるようにしながらつい、目を逸らす。
……本当は、龍志にそうやって興味を持たれるのが少し嫌だった。
けれどこれは、そうやって上司を困らせられるのが嫌とか、そういうヤツなのだ。
……たぶん。

「ふぅん。
今日の晩ごはんはカップ麺な。
じゃ、いってくる」

「え……」

そのタイミングでエレベーターのドアが開き、龍志はさっさと乗り込んでしまった。

……晩ごはんはカップ麺って、なんでそんなに怒ってるの?
デスクに戻りつつ考えるも、先ほどの会話のどこにそんな要素があったのかわからない。

「……ううっ」

悩んだところでわからないものはわからないし、仕事も山積みなのでとりあえず忘れることにした。

今日は私のほうが帰りが早かった。

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