憧れの上司は実は猫かぶり!?~ウブな部下は俺様御曹司に溺愛される~
中に入りかけて、宇佐神課長が兄の乗ったタクシーが去っていった方向から歩いてくるのが見えた。
今日も、女性連れだ。
「今、帰りか?」
「え、ええ」
マンションでエレベーターを待ちながら、課長に腕を絡ませている女性をちらりと見る。
「誰?」
「会社の部下」
彼女は最初に見た女性とも二回目に見た女性とも違っていた。
「ふぅん。
あ、でも、龍志の下なら働いてみたいかも」
「俺はけっこう厳しいぞ。
なあ」
乗り込んだエレベーターの中、課長は私に話を振ってくるがやめてもらいたい。
女性からの視線が痛すぎる。
「そ、そうですね」
適当に笑ってこの地獄のような時間をやり過ごす。
エレベーターを降りてダッシュしたいところだが、相手は上司なのでそれもままならない。
「じゃ、じゃあ、しつれいしまーす……」
彼らが私の部屋を通り過ぎたところで、愛想笑いをしながら部屋に引っ込んだ。
「はぁーっ……」
ひとりになった途端、大きなため息が落ちる。
あの女性でもう何人目だろう?
宇佐神課長が連れている女性が毎回、違うのだ。