憧れの上司は実は猫かぶり!?~ウブな部下は俺様御曹司に溺愛される~
てきぱきと仕事をこなし、定時を少し回ったくらいで会社を出られた。
これなら待ち合わせ時間に間に合いそうだ。

向かっている途中で龍志から、先にCOCOKAさんと店に入っていると連絡が来た。

「はいはい、そーですか」

あまり待たせるのも悪いので、足を速めて急ぐ。
店に着いて席に案内されたところで親密そうに肩を寄せてメニューを見ているふたりが見えた。

……このまま帰ったらダメかな。

足がそこに釘付けにされたかのように動かない。
ずきずきと胸が痛み、その奥から見たくもないどす黒い感情がじわりと滲み出てくるのを感じた。

「あ、井ノ上さーん!」

私に気づき、COCOKAさんが手を振ってくる。

「すみません、お待たせして」

無理矢理足を引き剥がし、彼らの元へと向かう。
今、私は上手く笑えているだろうか。
そればかりが気にかかる。

「ぜんぜん。
私たちもさっき、来たところなので」

空いている向かい側の席に腰を下ろしたが、彼らの顔を見るのが怖くて手もとに回されたメニューに目を落とした。

「とりあえずビールで」

「わかった。
……すみません」

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