憧れの上司は実は猫かぶり!?~ウブな部下は俺様御曹司に溺愛される~
私のオーダーを聞き、龍志が通りかかった店員を呼び止める。

「生ふたつとカシスソーダひとつ、お願いします」

「かしこまりました」

注文を聞いて失敗したと気づいた。
私も女の子らしいカクテルなど頼めばよかった。
いや、もう私の素を知っている龍志にいくら可愛い女の子アピールしようと無駄なのだ。
なのになんで、COCOKAさんと張り合おうとしているのだろう?

「すみません、急に。
今日なら都合がいいって宇佐神課長が言うので」

龍志に視線を向けると彼は、しれっと逸らしてきた。
都合がいいって、先に私と約束していましたが?
へぇ、そう。
私よりCOCOKAさんが優先なんだ?

「いえ。
お気になさらずに」

気持ちが、もやもやする。
滲み出た黒い感情が蛇のようにぐるぐると私を縛っていった。

飲み物が来るまでのあいだ、目の前でふたりは肩を寄せあって仲よさそうになにを食べるか相談している。
だいたい、なんで龍志があちら側に座っているのだろう。
接待する側なんだから、下座のこちらでしょ?
メニューを見ながらちら、ちらっとうかがうように彼の視線が私へ向かう。
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