憧れの上司は実は猫かぶり!?~ウブな部下は俺様御曹司に溺愛される~
それなら俺に自分がヤキモチを妬くなど自惚れるななどとばっさり切り捨ててくるのがわからない。

「わけがわからん……」

自分の口から憂鬱なため息が落ちていく。
だいたい、今日は好きな人がいるからその好意には応えられないとCOCOKAさんにきっぱり告げたのだ。

『それって、誰ですか』

聞かれたって答えられるわけがない。
しかし彼女は、食い下がってきた。

『私の知ってる人ですか』

知ったからといって、どうするんだろう。
嫌がらせでもするんだろうか。
答えられないと言うが、彼女は引き下がってくれない。

『もしかして、井ノ上さんですか』

それには思わずびくりと反応してしまい、彼女もそれに気づいた。
今から七星を貶めるようなことを言うのなら、いくら取り引き相手でもきっちり抗議してやるとかまえたものの。

『井ノ上さんなら仕方ないです』

泣きだしそうな顔で彼女はなぜか、あっさり引き下がってきた。
聞けば、事務所の人間ですら放置の自分を真剣に怒ってくれた七星に感謝しているのらしい。
会社にわざわざ来るのも俺に会いたいの半分、七星に会って相手にしてもらいたいのが半分だそうだ。
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