憧れの上司は実は猫かぶり!?~ウブな部下は俺様御曹司に溺愛される~
龍志が好きだからこんなにも今、苦しい。

一度、理解してしまうと、あんなにわけがわからなかった自分の気持ちがすとんすとんと落ちていく。
兄の言うとおり、ただ単に恋愛に鈍い私がそれに気づかず、まったく違う迷路に入り込んでいただけの話なのだ。

「どうしよう……」

いまさらながらそんな私のせいで龍志を困惑させ、迷惑をかけてしまったと気づいた。
もしかしたら本当に彼は、こんな私を嫌いになったかもしれない。
謝ったらまだ、許してもらえるだろうか。
けれどあんな拒絶をしてしまい、顔をあわせづらい。

「ナナー、晩メシ、どうする?
出かける気があるならどっか食べに行くし、嫌ならなんか取るし」

ひとり狼狽えているところに兄が、顔を出した。

「どうしよう、お兄ちゃん」

「ん?」

「私、取り返しのつかないこと、しちゃったかも」

自分の恋愛偏差値の低さが恨めしい。
せめて、普通の人くらいあればこんなことにはならなかったのに。
それもこれも今まで兄に甘やかされるのに浸り、恋愛なんてまったく考えなかった自分のせいだ。

「まあ落ち着け」

隣に座った兄が、優しく私に微笑みかける。

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