憧れの上司は実は猫かぶり!?~ウブな部下は俺様御曹司に溺愛される~
第二章 憧れの上司は俺様でした
「井ノ上さん。
俺、今から外回り出るんでデザイナーさんへの連絡、頼めるかな?」
後ろから声をかけられ、顔を上げる。
私を見下ろす宇佐神課長はにっこりと笑っていたが、レンズの向こうの目は「断ったらただじゃおかないぞ、ごらぁ」と脅していた。
「は、はい」
それに怯えて目を逸らし、反射的に承知の返事をしていた。
「じゃあ、よろしく。
いってきます」
私の肩を軽くぽんぽんと叩き、彼が去っていく。
いなくなってようやく、ほっと息をついた。
「……はぁーっ」
コーヒーを淹れにきた給湯室で、重いため息を吐き出しす。
宇佐神課長の女性関係を抗議してからというもの、なにかと仕事を押しつけ……頼まれるようになった。
いや、そもそもバレたら困るのはあっちのほうで、弱みを握っているのは私のはずなのだ。
けれどあの目で見られたら狐に対峙した子うさぎのごとく怯えて承知してしまう。
「あー、また残業コースだよ……」
宇佐神課長はとにかく忙しい。
彼はテレビ局や広告代理店回りの仕事をしており、多くの仕事を抱えているのは知っていた。
俺、今から外回り出るんでデザイナーさんへの連絡、頼めるかな?」
後ろから声をかけられ、顔を上げる。
私を見下ろす宇佐神課長はにっこりと笑っていたが、レンズの向こうの目は「断ったらただじゃおかないぞ、ごらぁ」と脅していた。
「は、はい」
それに怯えて目を逸らし、反射的に承知の返事をしていた。
「じゃあ、よろしく。
いってきます」
私の肩を軽くぽんぽんと叩き、彼が去っていく。
いなくなってようやく、ほっと息をついた。
「……はぁーっ」
コーヒーを淹れにきた給湯室で、重いため息を吐き出しす。
宇佐神課長の女性関係を抗議してからというもの、なにかと仕事を押しつけ……頼まれるようになった。
いや、そもそもバレたら困るのはあっちのほうで、弱みを握っているのは私のはずなのだ。
けれどあの目で見られたら狐に対峙した子うさぎのごとく怯えて承知してしまう。
「あー、また残業コースだよ……」
宇佐神課長はとにかく忙しい。
彼はテレビ局や広告代理店回りの仕事をしており、多くの仕事を抱えているのは知っていた。