憧れの上司は実は猫かぶり!?~ウブな部下は俺様御曹司に溺愛される~
顔を上げた彼女は満面の笑みになっていて、不覚にも可愛いなとか思ってしまった。

片付けを済ませて後処理をし、家に帰ったのは前日と同じく最終電車……ではなく、龍志が一緒のタクシーに乗せてくれた。

「これで明日も仕事なんて信じられません……」

「耐えろ。
あと二日したら休みだ」

「あと二日もある……」

龍志としては励ましてくれたんだろうが逆効果で、私の口からドブ色のため息が落ちていく。

「そういえばルナさんと龍志って、知り合いなんですか」

「前に他の仕事で少し、な」

それにはなんか、誤魔化された気がした。
ふたりはもっと親しい雰囲気があったし、それに。

「……仕事を辞めてルナさんと結婚、とかも言ってましたが」

車内の薄暗い中でも彼の身体がびくりと反応したのがわかった。

「俺に今の仕事を辞める気なんてないし」

そこまで聞いて安心したものの。

「それに俺は誰とも結婚する気はない」

続く言葉がナイフとなってドスッと胸に刺さった気がした。

「……誰とも結婚、しないんですか」

私が尋ねた途端、龍志はあきらかにしまったといった顔をした。
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