憧れの上司は実は猫かぶり!?~ウブな部下は俺様御曹司に溺愛される~
私が買い物をするあいだ、宇佐神課長は無言でずっと見ていた。

マンションに帰り着き、そそくさと部屋へ逃げ込む。

「では、失礼します」

「ああ」

一歩、彼が私へと距離を詰めてくる。
なにかを予感して後ろへ一歩下がったが、逃がさないかのように課長の腕が私の腰に回った。
反対の手が顔に触れ、固定する。
レンズ越しにじっと見つめる課長が怖くて目をつぶった次の瞬間、彼の唇が私の唇に重なった。

「……おやすみ」

耳もとに口を寄せ、甘い声で囁いて彼が離れる。

「えっ、あっ、は!?」

慣れないことをされて目を白黒させている私を残し、隣の部屋のドアがバタンと閉まった。

「はあぁぁぁぁぁぁぁーっ」

同時にデッカいため息をつき、その場に座り込む。
なんだあれは、イケメン彼氏か!
って、まあ確かにイケメンで女性の扱いに慣れているから、当たらずとも遠からずなんだけれど。

心臓の鼓動も落ち着き、そろそろと立ち上がって部屋に入ろうとした――瞬間。

「なあ」

唐突に隣の部屋のドアが開いた。

「ひっ!」

おかげで悲鳴を上げ、小さく縮こまってしまう。

「歯ブラシの予備、ない?
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