憧れの上司は実は猫かぶり!?~ウブな部下は俺様御曹司に溺愛される~
「これならバラバラになるとか心配しなくていいし、どうだ?」

どうだ、って私の料理スキルの低さを実感させただけでしたが?
いや、でも、確かに龍志のやり方なら私でも少しはマシになりそうだ。

「次からそうします」

「うん」

みじん切りなんてバラバラにならないように切れ目を入れて切っていくしかないと思っていただけに、驚きだった。

切ったタマネギや調味料なんかをミンチに混ぜ込んでいくのはさすがの私でも上手くできたけれど。

「そ、袖が……!」

上げ方が緩かったのか、ずるずると落ちてくる。
しかし両手は汚れていて上げられない。

「はいはい」

いい加減な返事をしたかと思ったら、龍志が私の後ろにぴったりとくっついて立つ。

「えっ、は?」

戸惑う私を無視して彼は、そのままくるくると私の袖を上げてきた。

「どうかしたのか?」

首を回して私の顔をのぞき込み、彼がいたずらっぽくにやりと笑う。

「いや、別に後ろからじゃなくてもいいんじゃないかなーって」

どきどきと心臓の音がうるさい。
龍志に気づかれるんじゃないかと心配になってきて、早く離れてくれと願った。

「んー?」

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