憧れの上司は実は猫かぶり!?~ウブな部下は俺様御曹司に溺愛される~
無意味に切り干し大根のお漬物を一本ずつ箸で摘まみ、お皿の隅へと移動させながら目はあわせない。
昨晩、ようやく龍志と想いを通じあわせたわけだが、そうなると次は〝あれ〟を期待するわけで。
しかもファーストキスからいきなり、あんなに激しかったのだ、当たり前というものだろう。
しかし、ひさしぶりにエステとマッサージしてやると言われ、それ以上はなにもないままいつものように寝落ちた。
不満くらい抱こうというものだ。

「もしかしてなんか、期待してたのか?」

にやりと龍志の、右の口端が持ち上がる。
それを見てかっと頬に熱が走った。

「べ、別に期待とかしてないし!」

熱い顔を誤魔化すように勢いよくおにぎりに噛みつく。
今日は菜っ葉と胡麻の混ぜご飯だ。

「ふーん」

意地悪く彼はにやにやと笑っていて、むっとした。

「龍志のほうこそ、我慢してるんじゃないんですか?」

精一杯、強がって笑ってやる。
しかし。

「んー、俺は別に、我慢とかしてないかな」

「……へ?」

平然と彼はお味噌汁を啜っていて目が点になった。
それはあれか、私相手では興奮しない、と?
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