憧れの上司は実は猫かぶり!?~ウブな部下は俺様御曹司に溺愛される~
まさか、ぼーっと顔を見ていましたなんて言えない。

「もしかして、俺が格好よくて見蕩れてた?」

意地悪く彼が右の口端を持ち上げ、かっと頬に熱が走った。

「そ、そんなわけ、あるわけないじゃないですか!」

反論しながらも図星なだけにまともに彼の顔を見られない。
ええ、ええ、私の彼氏、凄いイケメンだなーって見蕩れていましたが、なにか?

「そうか。
俺は七星が滅茶苦茶可愛く見えて、ぼーっと見蕩れないようにするのに必死だけどな」

眼鏡の奥で目を細めて彼がにっこりと笑い、顔から火が噴く思いがした。
それにたぶん、その場にいた全員が同じ思いだったに違いない。

電車を降りて駅を出たところで、さりげなく彼が私と手を繋いできた。
思わず顔を見上げると彼は不思議そうに少し首を傾げた。

「嫌か?」

問われてぶんぶんと首を横に振る。

「なら、いい」

彼が促して歩き出すので、私も歩き出す。
これでもかっ!ってくらい、全身が熱い。
きちんと制汗スプレーは振ってきたが、ぜんぜん効いていないんじゃないかというくらい、脇汗を掻いた。
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