憧れの上司は実は猫かぶり!?~ウブな部下は俺様御曹司に溺愛される~
アラサー女にあるまじき状態に呆れているのかと泣きたくなった頃。

「あー、うん。
わかった」

それがどういう返事なのかわからなくて、顔を上げる。
龍志はなぜか眼鏡から下を手で隠し、私から目を逸らしていた。
なにがそんなに気まずいのかと思ったら、眼鏡の弦がかかる耳が真っ赤になっているのに気づいてしまった。

「……実は俺も、年甲斐もなくはしゃいでる」

言われている意味がわからず、彼の顔をまじまじと見ていた。
ずっと余裕な感じなので、さすが経験値の違いだなと思っていたのに。

「さっきの七星が滅茶苦茶可愛くて今、キスしたくなるのを必死に我慢してる」

顔を寄せ、耳もとで囁かれ、完全にフリーズして棒立ちになっていた。

「えっ、あっ、その」

「そういうわけで俺もかなり怪しい行動していると思うから、気にするな」

赤い顔でわたわた慌てている私の顔をのぞき込み、龍志がにかっと笑う。
それでなんかちょっと、気が抜けた。

「……はい」

「うん。
飲み物とポップコーン、買うだろ?
もうあまり時間がない」

私の手を引っ張ってフード売り場へと向かっていく彼の顔をちらり。
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