憧れの上司は実は猫かぶり!?~ウブな部下は俺様御曹司に溺愛される~
そこはなんと……ペアシートだった。

「なんで普通の席にしなかったんですか!
追加料金もかかるのに」

上映前とはいえ大きな声を出すわけにはいかず、こそこそと抗議する。

「ドリンク代払ったと思えば、さほど高くないからなー」

仕方なく腰を下ろした私の隣で、龍志は素知らぬ顔をしてキャラメルポップコーンをぽいっと口に入れた。

「ううっ」

場所が場所なだけにそれ以上はなにも言えず、おとなしくした。

少しして予告が始まる。
私の好きな漫画が原作の作品があり、できたら龍志と観たいなと思う。
でもその作品が封切りされたとき、彼はまだ私の隣にいるんだろうかと不安になった。
ううん、今は考えない。
今日はとにかく、初めてのデートを楽しむんだ。

本編も昨日、予習してきただけあってのめり込めて楽しかった。
クライマックスに向かい、隣りあう龍志の手が私の手を握る。
私も自然とその手を握り返していた。

エンドロールまで流れてシアター内が明るくなる。
私の顔を見た龍志はなにかに気づいたのか、気まずそうな顔をした。

「……わるい」

それまで握っていた手を彼がぱっと離す。

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