憧れの上司は実は猫かぶり!?~ウブな部下は俺様御曹司に溺愛される~
「えっ、あっ、……とりあえず、出ましょうか」

「そうだな」

何事もなかったような顔をしてシアターを出た。
そのままふたりともトイレへ向かう。
少し並んで個室に入り、便器に座って用事を済ませながら先ほどのことを思い出していた。

……もしかして無意識、だったのかな。

なんか、そんな気がする。
そう気づくと急に四つも年上でしかも上司の龍志が可愛くなってきた。

「きゅ……」

思わず奇声を発しそうになり、慌てて口を押さえる。
それでも気持ちは抑えきれず、足をバタバタさせてしまった。

また長く籠もって彼を心配させるわけにはいかず、手早く手を洗って髪やメイクが崩れていないかチェックしてお手洗いを出た。

「お待たせしました」

「いや、いい。
昼メシ……と言いたいが、ポップコーン食ったしもう少ししてにするか。
どうせこの時間、どこも多いしな」

そっと背中を押して彼が促すので、歩き出す。
きっと私のお腹具合を気遣ってくれたんだと思う。
彼に胃袋を掴まれている私は当然、どれくらい入るかまで彼に把握されている。

適当なファッションビルに入り、ぶらぶら見て回る。

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