憧れの上司は実は猫かぶり!?~ウブな部下は俺様御曹司に溺愛される~
「え、そこは『ありがとう! 嬉しい!』じゃないのか?」

不思議そうに眼鏡の向こうで彼は、何度か瞬きをした。

「いや、なんでもかんでも買ってもらうのは悪いっていうか……。
映画も奢ってもらいましたし」

「ふぅん、そうなんだ」

なんだか彼はまだ納得がいっていないようだが、あれか。
今まで付き合ってきた女性たちはそういうタイプの人たちばかりだったのか。
龍志の女性遍歴が垣間見えた気がした。

「まあ、俺のほうが役職付きで七星より余計に給料もらってるんだから、気にするな」

また一緒に並び、ぶらぶらと店を見て回る。

「余計にってうちの会社、課長職は忙しい割に給料はそんなによくないって聞いたことありますよ?」

「うっ」

私の指摘で服を選んでいた龍志の手が止まった。

「株とか投資やってて、そっちからの収入と蓄えがけっこうあるんだ。
とはいえ、普段はこんなにほいほい買ってやらないぞ。
今日は初デート記念で特別だ」

「はぁ……?」

気を取り直して選んだ服を彼が私に当ててくる。

「ほら、これ着てみろ。
絶対似合うから」

服とともに私の肩を押し、彼は試着室へと連行した。

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