憧れの上司は実は猫かぶり!?~ウブな部下は俺様御曹司に溺愛される~
「着替えたら声かけろなー」

また私を押し込み、彼はバタンとドアを閉めた。
なんか、誤魔化された気がする。
これも話せない、私とずっと一緒にいられない理由なんだろうか。

ファッションビルを一通り見て出たときには、龍志の手に私の服が入った袋が三つほど握られていた。

「買い過ぎじゃないですか」

「これくらい普通だろ?」

手を繋いで歩きながら、今度は遅い昼食を摂る店を探す。

「それに俺は、どんどん七星を俺色に染めたいからな」

くいっと彼がその大きな手で覆うように眼鏡を上げるのが、得意げに見えた。
上機嫌で服を選んでいたが、そういう理由だとは思いもしない。
でも、まあ、そういうのも悪くない。

少し歩いてちょっと奥まったところに偶然見つけた、古民家風和カフェに決めた。
内装は解体した古民家のものを使っているらしく、雰囲気がいい。

「いいな、ここ」

龍志も気に入っているみたいだ。

ふたりでメニューを見て、お昼のわっぱ御前にする。

「このあと、どうします?」

映画も観た、買い物もした、もう目的は果たしたといっていいが、もう少し龍志と目的もなく歩きたい。
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