憧れの上司は実は猫かぶり!?~ウブな部下は俺様御曹司に溺愛される~
場所が場所だっただけに、期待していなかったのかといえば嘘になる。
しかし龍志はできないと言っていたし、明日は仕事だしね。
でも、しなくてもいいから龍志とホテルでお泊まりはしてみたいな……。
こんな高級ホテルは無理だけれど、今度誘ってみようかな。

タクシーの中で隣りあう私の左手を握り、龍志はずっと確認するように薬指に嵌まる指環を撫でている。
それが妙に、幸せだった。

「今日は楽しかった。
ありがとう」

私の部屋の前で彼が唇を重ねてきて、まだ慣れていない私はあっという間に顔が熱くなる。

「えっ、あっ、私も楽しかった、……です」

おかげでつい、しどろもどろになっていた。

「よかったらだが。
風呂入ったらこっちに来ないか」

そっぽを向いて照れくさそうに聞かれ、さらに慌ててしまう。

「あっ、えっと、その、……はい」

「じゃあ、待ってる」

もう一度、私と唇を重ねて彼が中に入るように促すので、ドアを開けた。

「じゃ、じゃあ、またあとで」

曖昧な笑顔で中に入り、ドアを閉めたところでその場にずるずると座り込んだ。
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