憧れの上司は実は猫かぶり!?~ウブな部下は俺様御曹司に溺愛される~
「えっ、あっ、その」

そんな、そういう行為をしたそうな顔をしているなんて恥ずかしすぎる。
それにできないという彼に無意識でも求めているのが申し訳なかった。

「少し楽に……」

「大丈夫、なので」

私の身体に触れる彼をそっと押しとどめた。
その気持ちは嬉しいけれど、結局のところ私が一番欲しいものはもらえないので虚しくなるだけな気がした。
だったら、このまま知らないほうがいい。

「ごめんな」

ぎゅっと私を抱きしめた彼の声は泣き出しそうで、私の胸も苦しくなる。

「俺だって、俺が七星に女の喜びを教えて、俺が七星の最初の男になりたかった」

「大丈夫ですよ。
気にしてないんで」

手を伸ばし、龍志を抱きしめ返す。

「ありがとう、七星」

身体を離した彼の目は少し、濡れて光っていた。

「なあ。
もう一回、キス、していいか」

「えっ、あっ、……はい」

聞かれて戸惑いながらも少し顔を上げて目を閉じ、もう学習したので唇を開く。

「愛してる……」

すぐに彼の唇が重なり、求められる。
身体を重ねられない分、こうやってそのときが車で何度も、唇で交わるんだろうなと思った。

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