憧れの上司は実は猫かぶり!?~ウブな部下は俺様御曹司に溺愛される~
「じゃあ、これはそれで」

「わかりました」

私の指示を聞き、由姫ちゃんが頷く。
話も一段落し、マグカップを手に取って渇いた喉にすっかり冷めたコーヒーを流し込む。

「井ノ上先輩。
もしかして宇佐神課長と結婚、したんですか?」

「うっ!」

うかがうように周囲を見渡したあと、こっそりと由姫ちゃんに耳打ちされて、飲んでいたコーヒーを噴き出しそうになってかろうじて耐えた。

「ごほっ!
ごほっ、ごほっ!」

……のはいいが、おかげで変なところに入ってしまい、盛大に咽せる。
そのせいで周囲の視線を集めてしまった。
大丈夫だと曖昧に笑ってみせ、どうにか息を整える。

「大丈夫ですか、先輩?」

「だ、大丈夫」

彼女は心配そうだが、原因を作ったのは変なことを言い出したあなたですが?

「てか、なんでそんなことになるの?」

小さく深呼吸して気持ちを落ち着け、由姫ちゃんを見上げる。
目のあった彼女は意外そうに何度か、瞬きをした。

「なんでって、それ」

彼女の指が、私の左手薬指を指す。
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