憧れの上司は実は猫かぶり!?~ウブな部下は俺様御曹司に溺愛される~
「ん。
楽しんでこい」

そこからさらに一万円札を抜き、私に差し出してくる。

「えっ、そんなのいいですよ!」

「いいから。
部下に奢るのも上司の仕事だ」

そうなのか……?
なんか違う気がするが、私の手を取って彼がお札を握らせてくるので、これ以上断るのは悪い気がして受け取った。

「じゃあ……。
ありがたく」

「うん」

龍志が眼鏡の向こうで目を細め、頷く。
その笑顔が眩しく見えてしまうのって、両想いになったからですか?

「今日はベッド、見に行けなくなってすみません」

精一杯、お詫びの気持ちで頭を下げた。
今朝、楽しみにしていたようだし申し訳ない。

「いや、いい。
俺もちょうど、遅くまでかかりそうな仕事が入ったからな」

彼は苦笑い気味に言ってきたが、きっと私に気を遣わせない口実だろう。

話も終わり、部署に戻って仕事を再開する。
龍志も自分の机に着き、パソコンを立ち上げていた。

「宇佐神かちょー」

しばらくして若手男性社員の困り声が聞こえてきて、つい顔を上げる。

「なんだ?」

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