憧れの上司は実は猫かぶり!?~ウブな部下は俺様御曹司に溺愛される~
……ここも突き止められたんだ。

目の前が真っ暗になって、なにも見えない。
なんであの男は私に執着するんだろう?
私にそんな魅力はないのに。

「……せ。
七星」

「あっ、はい!」

宇佐神課長に呼ばれているのに気づき、慌てて返事をする。

「どうかしたのか?
借金の督促状でも入っていたか?」

からかうように課長が笑う。
私の状況など知らず、気楽なものだ。
けれどそれで軽く怒りが湧いたせいか、少しだけ気持ちが楽になった。

「借金なんてないですよ」

無理に笑って中身を掴み、ポストを閉める。
とりあえず兄に相談しよう。
あれなら宇佐神課長に相談してもいいかもしれない。

「不審者だってよ。
七星も気をつけろよ、一応、女なんだし」

「ひどっ」

掲示されている注意喚起のポスターを見て課長が心配してくれる。
が、ひと言多い。

……もしかして一緒に帰るために会社に戻ってきてくれたのかな。

エレベーターの中で、課長の後ろ頭をじっと見つめる。

「そんなに見つめるなよ、禿げるだろ」

「えっ、見つめてなんか」

振り返った彼がにやりと笑い、熱い顔で目を逸らしていた。

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