憧れの上司は実は猫かぶり!?~ウブな部下は俺様御曹司に溺愛される~
「笹西にもルナがなにか言ってきたときのためにいろいろ頼んできたしな。
なに、心配するな。
これは俺の問題だからな。
俺が全部、なんとかする」

彼はそれが当たり前といった感じだけれど、龍志にまかせっきりとかいいはずがない。
なにか私にできることはないのかな。
とはいえ、おうちの問題に口出しするのもあれだしなー。
これは今後の課題だな。

「しっかし親の決めた人間と政略結婚って、もう令和ですよ。
昭和、それも戦前じゃないっていうの。
皇族だって恋愛結婚してるのに、なんなんですかね」

「あー……」

長く発し、龍志が箸を止める。

「俺たちの世界、っていうか金持ちの世界ではいまだに当たり前、っていうか。
俺とルナとの婚約が決まったのが、高校生のときだったし」

困ったように笑う彼を見て、なんともいえない気持ちになった。

「大変なんですね、お金持ちも」

「まあ、そういうのもあって家を出たんだけどな」

気を取り直して彼が食事を再開する。
家を出て手に入れた自由がこの部屋で、普通の会社員生活だったのだろう。
< 406 / 414 >

この作品をシェア

pagetop