憧れの上司は実は猫かぶり!?~ウブな部下は俺様御曹司に溺愛される~
それは心配しているというよりも「俺のメシがマズいとかあるわけねぇよな」と脅しているようであった。

「い、いえ。
別に。
……あちっ」

素知らぬ顔で豆腐を口に入れると思いのほか熱かった。

「大丈夫か?
やけど、してないか?」

急にそわそわと課長が私を心配しだす。

「大丈夫です」

適当に笑って誤魔化し、酎ハイを飲んでまだ熱い口の中を冷やした。
この人は俺様なのか優しいのか、いまいちわからない。

「あ、あの。
インフルエンサーの件でご相談したいことがあって」

会話が途切れ、必死になにか探すが出てきたのはこれだった。
だって宇佐神課長と私の共通の話題なんて、仕事しかないのだから仕方ない。

「家で仕事の話、禁止」

不機嫌に言い、彼がグラスを口に運ぶ。

「え……」

そう言われてもそれしか話題がないので、困惑して固まった。

「七星はなにが、好きなんだ?」

「なに、とは……?」

意味がわからなくて、首が斜めに傾く。

「俺は唐揚げだな。
一時期ハマって、いかに美味しい唐揚げを作るか試行錯誤し、毎日一キロ揚げていたこともある。
今度、作ってやろう」

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