憧れの上司は実は猫かぶり!?~ウブな部下は俺様御曹司に溺愛される~
穢らわしそうに言われかっと頬に熱が走ったが、小さく深呼吸して気持ちを落ち着けた。
熱くなったほうが負けだ。
冷静にならなければ。

「私は」

強い決意で顔を上げ、真っ直ぐに前を見る。

「宇佐神課長と真剣にお付き合いしています」

「だからどうした?」

嘲笑するような専務の声に身が竦む。
しかし、怯まずにさらに続けた。

「宇佐神課長はルナさんとの婚約は破棄した、結婚する気はないと言っていました」

「それで?
不貞を働いている男が、妻と別れて君と結婚すると言いながら実はその気などまったくないなど珍しくもない」

ふんと鼻で笑って専務が私を馬鹿にする。
しかしそれは龍志がそういう人間だと蔑んでいるに他ならないのだが、気づいていないのだろうか。

「宇佐神課長はそんな人間ではありません」

「男など皆、同じだ」

話は平行線で進みそうにない。
それにしてもルナさんは龍志が馬鹿にされているというのに、腹が立たないのだろうか。
私は先ほどからムカムカしっぱなしだというのに。

「そもそも私は、宇佐神課長がルナさんと婚約しているなんて、つい最近まで知りませんでした」

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